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フィンランド映画祭は15周年
今年もJVTAが上映作品5作品の字幕を担当

フィンランド映画祭は15周年<br>今年もJVTAが上映作品5作品の字幕を担当
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11月11日(土)、渋谷のユーロスペースでフィンランド映画祭が開幕。15周年を迎える今年は、巨匠アキ・カウリスマキ監督の『枯れ葉』を含む最新の6作品が一挙上映される。JVTAは今年も5作品の日本語字幕を担当、6人の翻訳者が手がけた。北欧映画はシュールな世界観で根強いファンも多い。そこで今回は、誰よりも早く作品を堪能した翻訳者に見どころと字幕作りで意識したことを聞いた。

◆『4人の小さな大人たち』 (2023年)

政治家のユーリアが聖職者の夫の不倫を知り、ポリアモリー(複数性愛)を選択することによって新たな家族関係、恋愛関係を築いていく物語です。人を愛する喜びと苦しみが描かれている大人の物語で、俳優陣のリアルな演技に最後まで引き込まれます。全体の音楽もすばらしく、個人的にはユーリアの恋人になるミスカの登場シーンが印象的でした。

翻訳作業では登場人物の心情を想像しながら取り組みました。
フィンランド独特の美しさや革新的な雰囲気を、映画を通じて味わっていただければと思います。(字幕翻訳 南部恭子さん)

◆『ファミリー・タイム』(2023年)

クリスマス休暇で集まった家族の様子をユーモラスかつシニカルに見つめた作品です。サンタクロースの国、フィンランドのクリスマスと聞けば、伝統的で心温まる楽しい時間を想像する人が多いと思いますが、本作に出てくる家族が過ごすクリスマスは残念ながら違います。笑顔や楽しい会話が多いわけでもなく、みんなどこか義務的に集まってしかたなく家族の時間を過ごしている様子。その日常の一コマは、どこか日本のお正月に親せきが集まる様子を思い出させるようなリアルさがあります。それと同時に、サウナに入るシーンや女性の社会進出、アルコール依存症など、フィンランドらしい描写もたくさん出てきます。年末年始の帰省シーズンを迎える前のこの時期に、このフィンランドの家族に皆さん自身を重ね合わせて、家族というものをじっくり考えてみるのも面白いんじゃないかなと思います。

翻訳においては、登場人物たちの感情をしっかり意識するように心がけました。家族の会話は何気ない日常会話も多かったのですが、言葉の端々やその表情から細かい感情を見逃さないように、1つひとつ丁寧に訳しました。祖父母夫婦の会話には印象的なものが多かったですが、作品のテーマにかかわる大事なセリフでもあったので、悩みながらいろいろな表現を考えて私なりのベストな訳を追求しました。(字幕翻訳 ウォルシュ未加さん)

◆『ライト・ライと・ライト』(2023年)

チェルノブイリ原発で爆発事故が起きた1986年春、フィンランドの小さな村で、15歳の少女マリアは転校生のミミと出会います。20年後、マリアは病気の母を看病するため地元に戻りますが、甘くも切ない思い出を振り返りながら過去と向き合います。

全体的にセリフが少なく、見る人に解釈をゆだねるような言い回しが印象的だったので、あまり脚色は加えず原文に忠実に訳すように心がけました。初恋の甘酸っぱさと切なさを味わえる作品です。ぜひご覧ください。(字幕翻訳 加々美ヘナタさん)

◆『ハッピー・ワーカー』(2022年)

働き方については誰もが一度は悩むことだと思います。本作は燃え尽き症候群のケースなどを紹介しつつ、素質のない管理職や、生産性のない会議など、職場の抱える問題点などを洗い出していくドキュメンタリーです。

私も前職で同じような経験をしたので、当時を思い出して少し苦しくなりつつも、世界共通の悩みなんだなと少し安心(?)しました。題材的に重くなりがちな内容ですが、本作のユーモアや皮肉を交えた表現が生きるように、意識して訳出しました。思わずうなずきたくなる箇所が多数出てくる作品ですので、楽しんでいただければと思います。(字幕翻訳 葛馬 麻衣子さん)

一生懸命がんばっているのに認めてもらえない。次から次に仕事が舞い込んでくる。
そんな状況が続くと人は「燃え尽き症候群」に陥ってしまいます。

本作は「燃え尽き症候群」を経験した人々が、自身の体験を語っていくドキュメンタリー作品です。会社員はもちろんフリーランスも、働いている人なら誰もが共感できる作品だと思います。また、人類学者や心理学者など、著名な学者さんたちも出てきます。堅い内容でありながら、最後まで興味を持ち、より深く共感できるよう言葉選びやリズムを意識しました。

私はまだまだ駆け出しの翻訳者です。「大変だ」と感じることもたくさんあります。
しかし、本作を視聴して訳したことで、なぜか「頑張ろう!」と前向きな気持ちになれました。もし仕事で悩んでいる人がいれば、ぜひ本作を見て何かしら解決のヒントを得てくれたら嬉しいなと思います。(字幕翻訳 中角明子さん)

※その他の上映作品

◆『バブル』(字幕翻訳 木村美里さん)


◆『枯れ葉』はアキ・カウリスマキ最新作。
12月15日(金)より、ユーロスペース他で全国ロードショー

©Sputnik photo_Malla_Hukkanen

公式サイト:https://kareha-movie.com/

◆フィンランド映画祭
2023年11月11日(土)~11月17日(土)
ユーロスペース
公式サイト:https://twitter.com/FinlandFilmFes
ユーロスペース内の紹介ページ
http://www.eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000734
※こちらから電子パンフレットをダウンロードできます。


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