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地中に潜む地中の『ジョーズ』 グラボイド in 『トレマーズ』

地中に潜む地中の『ジョーズ』 グラボイド in 『トレマーズ』
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【最近の私】エディ・マーフィ主演の『ビバリー・ヒルズ・コップ』シリーズの新作が配信されることに。約30年ぶりの続編に期待しています。

2024年になりました。今年もよろしくお願いします。

私は年末年始、動画配信やTVで80年代~90年代の映画を観て過ごしていた。今回は、その自分の視聴リストの中から、『トレマーズ』(1990年)に登場した怪物(グラボイド)を紹介したい。

物語の舞台はネヴァダ州の砂漠地帯にある小さな町パーフェクション。この町で便利屋を営んでいるバル(ケヴィン・ベーコン)とアール(フレッド・ウォード)はある日、鉄塔の上で絶命している町民を発見する。さらに2人は他にも町民や羊が死んでいるのを見つける。この小さな町で、なんでこんな事件が起こっているのか。

一方、地質調査でパーフェクションを訪れていた大学院生ロンダ(フィン・カーター)も、この町で異変が起きていると感じている。彼女がバルたちと原因を探っていると、突然、地中から10メートルを超える巨大な蛇のような怪物(グラボイド)が出現し、住民たちを襲い始めた。この怪物は肉食性で、人間や動物を捕食しているのだ。他の町に避難しようにも道がふさがれている。逃げ道を遮断された人間たちは、怪物と生死をかけたサバイバルを始める。

本作に登場する怪物、グラボイドは、巨大なツチノコのような外見で、大きな口を持ち、その口から細かいヘビのような触手が伸びてくる。この映画が公開された時のポスターを観ると、この映画は地中版“ジョーズ”だというフレーズが思い浮かんだ。“ジョーズ”とは、スティーヴン・スピルバーグ監督の『JAWS/ジョーズ』(1975年)のことで、のちの動物パニック映画の先駆けとなった作品である。

『トレマーズ』が制作された時は、まだCGが映画に多用される前だったので、あえて「怪物を見せない」演出がとられている。例えば、グラボイドが地中を進む場面では、地響きと地表に土埃が吹き出すことで、怪物が猛スピードで進む様子を描写していた。低予算(だったと思われる)を逆手にとって工夫を凝らした演出がお見事でした。そういえば「見せない描写」は『ジョーズ』でも使用されていた。

さらに、グラボイドの特徴として、目が見えないという点がある。目が見えないので、音で地上の人間の動きを察知して地中を動くのだ。「音が聞こえなければ襲われない」という特徴を見抜いたバルたちは、グラボイドに音が聞こえないよう屋根の上や、大きな岩の上で音を立てないように避難するのだが、「鬼ごっこ」みたいなゲームのようでもある。岩と岩の間は、棒高跳びのように宙を舞って移動し、または小型のトラクターをおとりに使って、音を立てて怪物の注意をそっちに向かわせるなど、「一難去ってまた一難」な展開も、パニック映画でありながら、どこかユーモラスな味わいがある。映画で登場するグラボイドは4体。住民たちはダイナマイトを使って怪物を吹き飛ばそうとする。爆薬を使って退治しようとする展開も『ジョーズ』を彷彿させる。他のグラボイドたちをどう倒すのかは、観てのお楽しみである。

バルとアールを演じたケヴィン・ベーコンとフレッド・ウォードの共演も、漫才のやりとりみたいで笑いを誘う。彼ら以外のキャラクターも、個性的なメンバーがそろっている。怪物パニック映画でありながら、恐怖とユーモアの融合に成功している。のちに続編が作られてシリーズ化されたのも納得である。

おせち料理のような豪華な予算をかけた大作映画ももちろん面白いが、時にはB級(ほめてます)だけどアイディアが詰まった、肩の凝らない楽しい作品が観たい、そんな方には、『トレマーズ』をおすすめします。

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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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戦え!シネマッハ!!!!
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!

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