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初の悪役に挑んだ話題作 イーサン・ホーク in 『ブラック・フォン』

初の悪役に挑んだ話題作 イーサン・ホーク in 『ブラック・フォン』
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【最近の私】米アカデミー賞で『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞を受賞しました。日本映画が世界に誇るゴジラでの受賞は嬉しいです。

 

俳優が悪役を演じると、そのキャラクターのイメージがつくことがある。そのため、悪役を演じることを避けてきた俳優がイーサン・ホークだ。今回はその彼が連続殺人鬼を演じた『ブラック・フォン』(2022年)を紹介したい。

物語の舞台は、1978年のコロラド州デンバー郊外。この町では、謎の男グラバー(イーサン・ホーク)による子どもの誘拐事件が相次いでいた。町中には、失踪した子どもたちのポスターが貼ってあるほどである。この町で暮らす少年フィニー(メイソン・テムズ)は、家では高圧的な父親におびえ、学校ではいじめグループの標的になっている。フィニーの妹グウェン(マデリーン・マックグロウ)は、今は亡き母親と同じ予知夢を見る能力があった。ただ、父親はグウェンの能力を否定し、夢の話をするグウェンを激しく叱責する。

ある日、フィニーはグラバーに誘拐されてしまう。フィニーが目覚めると、そこは見知らぬ部屋の中だった。そして、不気味なマスクをかぶったグラバーが現れる。その部屋は防音になっており、いくらフィニーが叫んでも外には聞こえない。そして部屋には、断線した黒電話が壁にかかっている。

誘拐されたと知ったフィニーは、暗い部屋の中で絶望する。その時、鳴るはずのない黒電話のベルが鳴る。受話器を取るフィニー。電話をかけてきたのは、グラバーに誘拐されて殺された子どもたちの霊だった。死んだ子どもたちは、フィニーにこの部屋からの脱出法を教えようとする。一方。グウェンは予知夢の能力を使って、失踪した兄の行方を追っていた。果たして、フィニーは誘拐犯の手から逃れることができるのか。

イーサン・ホークが悪役を演じることを避けていた理由として、『シャイニング』(1980年)のジャック・ニコルソンに、あの映画の狂気にとりつかれた役のイメージが強くついてしまったことを挙げていた。そのため、『ブラック・フォン』のオファーが来た時、監督のスコット・デリクソンに「役を引き受ける可能性は低い」と伝えたという。だが、脚本を読んで出演を決めたのだから、このグラバーが、悪役を演じることをイーサンに決断させるほど魅力的だったのだろう。あるインタビューで、「この作品は子どもたちの視点で語られており、兄妹はお互いを愛し、助け合っていく。悪がある世の中で、自分たちで自分たちの面倒を見る。僕はそこに美しいものを見る」と話していた。デリクソン監督は『フッテージ』(2012年)をイーサン主演で撮っている。あえてイーサンに殺人鬼の役をオファーしたのも、目の付けどころが素晴らしいです。

イーサン扮するグラバーは、登場する時は終始、不気味なマスクをつけている。マスクで素の表情が見えないので、話している相手の恐怖をあおる。この独特なマスクをデザインしたのは、特殊メイクアップアーティストの巨匠、トム・サヴィーニである。『ゾンビ』(1978年)や『死霊のえじき』(1985年)など、数多くの映画で特殊メイクを担当している第一人者だ。そのトムが制作に携わっているマスクだけに、見る者に強い印象を残すインパクトがある。

マスクごしの演技で、子どもたちを恐怖のどん底に落とし入れる殺人鬼を表現できたのは、イーサンの演技力によるところが大きい。マスクだけではなく、グラバーには彼の過去など、明確な説明はない。彼がどんな男なのわからないので、観客の想像に任せたのも、この映画が成功した点なのではないか。

『ブラック・フォン』で悪役を演じることに手ごたえを感じたのか、この作品の続編にも再び登場するという(2025年に米公開予定)。監督のデリクソンをはじめ、他のメインの出演者も続投する予定だ。イーサンがどのような悪役になるのか、注目して待ちたいです。

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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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戦え!シネマッハ!!!!
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!

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