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【スタッフコラム】Fizzy!!!!! JUICE #7
『愛の不時着』●塩崎邦宏(管理部門)

【スタッフコラム】Fizzy!!!!! JUICE #7<br>『愛の不時着』●塩崎邦宏(管理部門)
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ここ数年はこの時期になるとコラムを書いている。読んでいただいている方はご存じだと思うが、すべて『スター・ウォーズ』についてである。約1年前に公開された『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』をもって『スカイウォーカー・サーガ』と呼ばれるひとつの歴史が幕を閉じた。だから今回、書くものがないのでは? そんなことはない。『スター・ウォーズ』は続いている。「Disney+(ディズニープラス)」で毎週金曜日に配信されている初の実写ドラマ『マンダロリアン』。サイドストーリー的な作品と思いきやメインストーリーをも上回っていると思うくらい素晴らしい作品に仕上がっている。

本当はこのまま『マンダロリアン』の話を永遠と書き続けたいところだが、今回はちょっと変化球を投げてみたい。
NETFLIXのホーム画面によくでていたけど、興味があまりなかったためスルーしていた作品がある。日本では第3次韓流ブームと言われているが、完全に乗り遅れている状態だった。もっと言ってしまうと正直、自分がその波に乗るとも思っていなかった。
ところが最近になって一気見をした知り合いの話を聞いて、試しに1話を観てみたらもうおしまいだった。完全に沼に落ちてしまった。
その作品は『愛の不時着』である。

全16話からなり、1話あたり約1時間30分くらいの長期戦だった。ただ、毎回クライマックスがきて観るのをやめさせてくれない。
ストーリーはパラグライダーの事故で誤って北朝鮮に不時着してしまった韓国の財閥の跡取り娘と偶然出会った北朝鮮の将校のラブストーリーだ。通常はそんな状況のドラマなら無事に財閥令嬢が韓国に帰国してお互いの境遇を不運に思うか、二人でどこかに逃避行してしまうのがオチな気がするが『愛の不時着』はそうはいかない。かなり早い段階で「あれ、ここがクライマックス?」と思うような山場がやってくる。そこからの話の展開にも目が離せない。また、わき役を固めている俳優さんたちの演技もすごい。誰一人としてキャラクターに無駄がないのも脚本のすごさだと思う。
よく「~ロス」という言葉を聞くが、私も「『愛の不時着』ロス」におちいるのかと観ている途中で不安になった。しかし、ロスにはならなかった。なぜなら、結果を含めてすべてに満足してしまったからだと思う。「~ロス」というのは「もっと観ていたい」、「その後主人公たちはどうなるんだろう?」という思いがあるからロスにおちいってしまうのではないだろうか? そういった意味で『愛の不時着』の結末はもちろん、途中のストーリーも充実しているからロスにならないのではないかと勝手に思う。それぐらい伏線回収とエンディングはきれいに締めくくられている。唯一の心配は2周目に突入することぐらいだろう。

何事もそうかもしれないが、得意分野を持っていることは大切なことだ。私にとって『スター・ウォーズ』がそれである。映像翻訳もサッカーや動物系ドキュメンタリーなどひとつのジャンルを得意分野にして、そのジャンルなら私の右に出る人はいないと言えるぐらい極めるのは大切なことだ。ただ、たまには今まで自分には興味がなかった分野のことも知ると言葉遣いや表現に幅や深みがでてより一層、極められるのではないだろうか?「狭く深く」も大事だが時には「広く浅く」も必要だと思う。

今年もあと少しだが、年末年始は間違いなく韓流ドラマや映画をたくさん観ることだろう。何か新しいことを始めたり知ることは、今まで普通だと思っていたことの価値観を変えてくれる可能性があり、新たな一歩を踏み出せるかもしれない。たかが興味のなかったジャンルのドラマを観たぐらいでそんなに変わる? と思っただろうか? 何事もやってみないと未来の結果は変わらないのではないか?

数年後に新しいジャンルの翻訳をやっていて翻訳者としての幅が広がっているとしたら、今まで手をつけていなかったジャンルの作品を観てみるのもよいのでは?
「インドではこう言う 間違った電車が時には目的地に運ぶと」(ユン・セリ)というセリフが出てくる。少し遠回りしたり、寄り道をしたりしてもいつかそれが翻訳の糧になる日がくるのではないだろうか。

参考:
『マンダロリアン』
『愛の不時着』

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Written by 塩崎邦宏

しおさき・くにひろ●日本映像翻訳アカデミー・管理部門。英日映像翻訳科修了生。
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「Fizzy!!!!! JUICE」は月に1回、SNSで発信される、“言葉のプロ”を目指す人のための読み物。JVTAスタッフによる、示唆に富んだ内容が魅力です。一つひとつの泡は小さいけど、たくさん集まったらパンチの効いた飲み物に。Fizzy! なJUICEを召し上がれ!
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