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ロジカルリーディング力を鍛える⑭ 英文解釈力を日本語表現力につなげる

ロジカルリーディング力を鍛える⑭ 英文解釈力を日本語表現力につなげる
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ロジカルリーディング力 強化コースは“プロの映像翻訳者が持つ思考プロセス”を伝授し、
映像翻訳に必須の「英文解釈力」を着実にレベルアップさせることを目的としています。
 

英文読解を高度な知的活動と捉え、英文を「何となく読める」レベルから脱却し、確実な根拠に基づいて理解した内容を自分の言葉で説明できるようになるまで考え抜くトレーニングを行います。英字紙の社説やコラム、政治家のインタビューなど、深い内容の素材を訳しながら、英文を貫く論理の見出し方、筋の通った訳文の作り方を学びます。具体的にどんな講座なのか、山根克之講師が解説します。
 

<英文解釈力を日本語表現力につなげる>
 

今年の4月、千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手が日本のプロ野球では28年ぶりとなる完全試合を記録しました。完全試合とは投手が打者の出塁を一度も許さず9イニングで27個のアウトを奪うことです。この偉業が野球の本場アメリカではどのように報道されたのか、気になって調べているうちに興味深い記事を見つけました。佐々木投手の場合、27個のアウトのうち、奪った三振は19個。これだけでもすごい記録なのですが、アメリカには1試合で27個のアウトを全て三振で奪った投手がいたというのです。その記事(https://www.mlb.com/news/the-man-who-struck-out-27-batters)の冒頭を読んでみましょう。
 

Ron Necciai, now 89 years old and living in Florida, almost seemed amused that I, and others, still want to talk about an unreal game he pitched back in 1952.
 

“I still get cards, letters and pictures to sign,” Necciai said over the phone. “Yeah, surprisingly. It’s unbelievable. ①I haven’t played in 70 years.”
 

I mean, Necciai really can’t blame anybody for reaching out. ②Seventy years ago on this date, he pitched one of the more ridiculous games in organized baseball history.
 

意味ありげに①②と番号を振りました。この2つの文には共通する要素があります。それはそれぞれが直前の文の理由を述べる働きをしていることです。この「文の果たす役割」を考えると訳し方の方向性が決まってきます。
 

①の場合「I still get cards, letters and pictures to sign.」「Yeah, surprisingly. It’s unbelievable.」(いまだに手紙を受け取ったり、写真にサインを求められたりするなんて信じられない)を受けて、なぜ信じられないのかを説明していることが分かれば「だって、もう70年もプレーしていないんですよ」「野球を辞めてから70年もたつのにね」のような訳文が思い浮かびます。
 

②も同様に「I mean, Necciai really can’t blame anybody for reaching out.」(ネッチアイの元にいまだにファンの声が届くのも無理もない)を受けて、なぜ無理もないのかを説明することを考えれば「70年前のこの日、彼は投手として北米のプロ野球史に残る途方もない記録を打ち立てたのだから」のように訳すことができます。
※organized baseballはMLBとその傘下のマイナーリーグを指す言葉。
 

訳文をまとめておきましょう。
 

1952年のある試合で超人的な快投を見せたロン・ネッチアイ。現在89歳でフロリダに暮らす彼は、今回取材を申し込んだ私のようにいまだにあの試合を話題にしたがる人々がいる事実を楽しんでいるようだった。
「今もカードや手紙が送られてきますし、写真にサインを求められることもあります」。電話口でネッチアイはそう語った。「本当に驚かされますね。信じられません。だって、もう70年もプレーしていないんですよ」。
ネッチアイの元にいまだにファンの声が届くのも無理もない。70年前のこの日、彼は投手として北米のプロ野球史に残る途方もない記録を打ち立てたのだから。

 

訳文を作る時にどうしても同じような語尾が続いて単調になってしまう人は、それぞれの文の役割を考えてみてください。それを考えるだけで「私は70年間プレーしていません」が「だって、もう70年もプレーしていないんですよ」や「野球を辞めてから70年もたつのにね」に変わります。簡単に表現に変化を加えることができるわけです。
 

原文の構成を意識して理解を深めれば、訳文の構成や言葉選びにより多くの選択肢を持てるようになります。ロジカルリーディング力強化コースでは英文の読み方を磨くことを通じて訳文の構成力と日本語の表現力も高めていきます。
 
(Text by English Clock 主任講師 山根克之)
 

◆ロジカルリーディング力を鍛える アーカイブはこちら
https://www.jvta.net/tyo/logical-reading-archive/

 

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「English Clock ロジカルリーディング力 強化コース」

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