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2016年9月1日(木)、日本初のユニバーサルシアターがオープン!

2016年9月1日(木)、日本初のユニバーサルシアターがオープン!
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日本初のユニバーサルシアター、「シネマ・チュプキ・タバタ」が9月1日(木)田端にオープンします。バリアフリー映画鑑賞推進団体のシティ・ライツ募金を集めて設立したこの映画館では、すべての上映作品を音声ガイドと日本語字幕付きで楽しむことができます。JVTAは、この取り組みに賛同し、応援しています。座席は補助席を出して25席と小さな映画館ですが、特筆すべきはその秀悦な音響設備。11.1chのドルビーアトモス&DTS-X対応の再生環境を実現した、まるで森の中にいるように360°全ての方向から音に包まれる「フォレストサウンド」という音場を採用しており、リアルで迫力満点の音を楽しむことができるそうです。9月のオープンに先駆け、8月27日(土)には、北とぴあ つつじホールで、プレ・オープニングイベントが開催されます。そこで、シティ・ライツ代表の平塚千穂子さんにお話を聞きました。
 

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JVTA ユニバーサルシアターのオープン、おめでとうございます!
 

平塚千穂子さん(以下平塚さん)
ありがとうございます! 映画館オープンを目指してクラウドファンディングを起ち上げ、お陰様で当初の目標金額1,500万円を達成することができました。JVTAさんほか多くの皆さんにご協力頂き、本当に感謝しています。田端駅から徒歩5分という商店街の中にある新築のビルで、1階はシアター、2階には事務所を兼ねた教室になっています。今後は音声ガイドづくりの勉強会や地域のグループとつながって、ママたちのワークショップなどもやっていきたいと考えています。JVTAの修了生さんからも音声ガイド作りに携わりたいというお問い合わせを頂くのでぜひ参加して欲しいですね。実は、私たちのところにも、シネマ・デイジー(音で楽しむ映画として音声ガイドをCDに録音したもの)の作成依頼も増えていて、多くの作り手の方が必要な状況です。ぜひJVTAのバリアフリー講座の修了生さんにも協力して頂けたら嬉しいです。
 

JVTA 当校の受講生・修了生の皆さんにも興味深いスポットです。このシアターは高性能の音響設備が自慢だそうですね。
 

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平塚さん アニメ『ガールズ&パンツァー 劇場版』の音響監督を務める岩浪美和さんが音響設備をコーディネートしてくださいました。岩浪さんはさまざまな場所でその会場に最も適した音響設備を整える「極音上映」を担当し、開催するたびに満席になっています。チュプキも「極音」シアターとして人気の映画館になれたら嬉しいです。
 

JVTA 平塚さんご自身もその性能の良さに驚いたとか。
 

平塚さん 私も作品中で風の音を聴いた時にあまりにもリアルでびっくりしました。耳ではブワーとリアルな風が吹いている中にいるなという体感をしているのに、実際には身体に風があたらず、感じることができない。「これはおかしい!」と混乱するくらい凄かったんです。ですからこのシアターでは、目で見えている情報を視覚障害者に言葉にして補う以上に、音そのもので伝わる可能性が高まると思います。
 

JVTA そこまでリアルだと音声ガイドの作り方も変わってきそうですね。
 

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平塚さん そうですね。これだけ音がいいと、シンプルな音声ガイドで充分。音を聴くだけで空間がきちんと感じられるので、登場人物が今部屋の中にいるのか、いつ外にでたのかも一瞬にして分かるんです。場面が変わったことも音だけで理解できます。ですから、はじめは音声ガイド付きで観てその後はガイドなしでもう1回観てみようという楽しみ方もできるかなと思っています。
 

JVTA それはぜひ体感してみたいです! 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の爆音上映なども大人気でしたし、音声ガイドを聴くだけでなく、「単純に音を楽しみたい!」という人からも注目を集めるのではないでしょうか?
 

平塚さん 見えている人にとっても、ものすごくリアルで極上の音を楽しめる映画館は魅力的ですよね。今後はそういう作品選びもまたポイントになってきそうです。
 

JVTA 9月はどんな作品が上映されますか?
 

『バグダッド・カフェ』

『バグダッド・カフェ』


平塚さん
 オープンを記念して、9月は『バグダッド・カフェ』を上映します。これは私が一番影響を受けた思い入れのある作品で、こだわり過ぎてなかなか音声ガイドを完成することができず、ずっとあたためてきました。また、チャップリン特集もあります。シティ・ライツの名前の由来にもなった『街の灯』『キッド』『モダン・タイムス』『独裁者』の4本をお届けします。新しい作品では2013年の『かみさまとのやくそく ディレクターズカット版』をご用意しました。胎内記憶研究の第一人者の医師や生まれ変わり現象を研究する大学教授の姿を追ったドキュメンタリーです。27日のプレ・オープニングイベントには荻久保則男監督と子育てママ応援塾「ほっこり~の」代表、内海千津子さんをお招きするトークショーもあります。
 

JVTA 満を持しての上映、楽しみです。この映画館はバリアフリーではなく、ユニバーサルという表現を使っていますね。
 

チャップリン

チャップリン

『かみさまとのやくそく 』

『かみさまとのやくそく 』

平塚さん 障害がある、ないを問わず、誰もが楽しめる映画館を目指しています。これまで「バリアフリー映画館」と言い続けてきた中で、「バリアフリー」という言い方が実は枠を狭めているのかなと感じたんですね。実際に今回「ユニバーサル」という言葉を使ってみたら本当に繋がる人たちがとても広がりました。音響設計などにもずいぶんいろいろな方が関わったのですが、「音声ガイドを聴く」という目的だけでなく、音の質そのものを良くするとか、もっとこんな聴き方ができるといった、さまざまな枠を越えてご提案を頂きました。「バリアフリー」というと、どうしても見えない、聴こえないというバリアがあってそのバリアをとる(なくす)という二元論になってしまう。もっと広い意味ですべてのニーズを包み込むのがユニバーサルという考え方なのだと思います。
 

とはいえ、音声ガイドという手法自体が一般的にはもちろん、当事者の方にもまだあまり知られていないと実感しているので、この映画館を通して知ってほしいですね。常時、音声ガイド付で上映する施設はほとんどないので、ぜひ気軽に触れてほしいです。
 

JVTA チュプキでは日本語字幕もついているそうですね。
 
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平塚さん はい。これは音声ガイドを中心に活動してきた私たちにとっては新たな試みです。はじめは、聴覚障害者の皆さんのニーズが分からず、ご迷惑をかけてしまうかもしれませんがどうぞお許しください。私たちが楽しみにしているのは、上映後の感想シェアタイムです。音声認識技術を使い、リアルタイムで言葉を文字に変換することができるアプリ「UDトーク」を導入します。話した内容を音で拾ってその場で文字化してくれれば、視覚障害者と聴覚障害者の意思疎通ができます。映画の感想を伝えたり、分からなかった場面をお互いに補いあったりすることで、作品への理解を深められたら素敵ですよね。聴覚障害者の方はすごく映像を細かくみていると思うので、感想を共有できたらこちらも本当に勉強になると思います。視覚障害者と聴覚障害者が交流できる場はあまりないので、新たな出会いの場になったら嬉しいですね。
 

JVTA それは素晴らしいですね。JVTAの受講生・修了生の皆さんにもぜひ参加してほしいです。チュプキのポスターにはかわいいだけでなく、メッセージも込められているとか。
 

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平塚さん 日本人、外国人、視覚障害者、聴覚障害者、ガイコツ、キリン、ワニ、パンダ、宇宙人に、ろくろっ首、切り株にリスもいますね(笑)みんなで一緒に映画を楽しむ様子が描かれています。ユニバーサルな環境ってこういう温かさがあると思うのですが、この映画館なら実現できます! 8月27日(土)のプレ・オープニングイベントは、北とぴあの大きなスクリーンでユニバーサル上映を体験して頂けるチャンスです。この日はガーナの自立支援団体Enijeの代表の矢野・デイビッドさんのトークショーもあります。「パラリンピックやオリンピックとかではなく、もっと多様な人々が集まり、国も関係なく世界大運動会をやるのが夢」というデイビットのお話はとても面白いですよ。ぜひ、お待ちしています!
 

JVTA はい。私たちも楽しみにしています。ありがとうございました。
 

平塚さん ありがとうございました。
 

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シネマ・チュプキ・タバタ 9月1日(木)オープン!
公式サイト
http://chupki.jpn.org作成中!
→旧ホームページ
http://chupki.petit.cc/
 

音声ガイド

プレ・オープニングイベント
ユニバーサルシアター設立支援上映会
日時:2016年8月27日(土)
会場:北とぴあ つつじホール
料金:1作品 1,000円(当日券のみ 先着順自由席)
http://citylights.halfmoon.jp/katsudou/3555http://citylights.halfmoon.jp/katsudou/3555
 

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