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【フィンランド映画祭2021】字幕翻訳者5人が語る 上映作品の魅力

【フィンランド映画祭2021】字幕翻訳者5人が語る 上映作品の魅力
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11月13日(土)、「フィンランド映画祭2021」が東京・渋谷のユーロスペースで開幕。2021年フィンランド・アカデミー賞(Jussi賞)受賞の2作品を含む長編5作品と短編1作品(字幕なし)が上映される。JVTAは今年もその日本語字幕をサポート、JVTAで学んだ5名の映像翻訳者が手がけた。ドキュメンタリーやヒューマンドラマ、青春ドラマなどバラエティに富んだラインナップとなっている。フィンランドで旬の傑作をいち早く堪能できるのは、まさに翻訳者の醍醐味。作品にじっくり向き合った5人に、作品の見どころを紹介してもらった。
 

◆『初雪』(原題『Ensilumi』/英語題『Any Day Now』)
日本語字幕担当 小路真由子さん
ANY_DAY_NOW_01_©Aamu_Film_Company_Foto@Sami_Kuokkanen

フィンランドの難民センターで暮らすイラン人家族のお話です。美しい森や湖を背景に主人公の少年の生活が淡々と描かれます。難民問題がテーマだと聞くと勝手に重い印象を持ちがちですが、全然そうではなく見終わったあと心が洗われるような気持ちになります。作品の穏やかな雰囲気を壊さない訳にすることを心掛け、楽しみながら翻訳を進められました。主人公の親友の少年がもうムチャクチャ可愛いです!
 

◆『ミスタイム』(原題『Neiti Aika』/英語題『Lady Time』)
日本語字幕担当 荒井恵美子さん

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日本では少子高齢化が進み、「孤独死」が問題になっています。私物だけでなく遺灰さえ引き取ってくれる家族がいないというのは、現実的にあり得る話です。この作品の監督は、何も接点がないのに、「引っ越したアパートの以前の住人だった」というだけで、その人の死を悼み、その人生に意味をもたせようとします。映像で語りかけてくるようなドキュメンタリーで、そこに元住人の女性の言葉や手紙の内容が添えられていくという淡々とした内容なので、全体的に単調になりすぎず、その時の話者の心情が伝わるよう意識して翻訳をしました。とても心温まる、興味深い作品でした。
 

◆『フォレスト・ジャイアント』(原題『Metsajatti』/英語題『Forest Giant』)
日本語字幕担当 比嘉英理子さん

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主人公は妻の出産を控え、新しい住まいも購入し、仕事も順調という順風満帆の様子ですが、昇進の足掛かりとして、昔育った町の合板工場の人員整理を命じられると、複雑な表情を浮かべます。そこから彼の過去が次第に明かされつつ、人生をどう生きるかが描かれていきます。フィンランドの作品ではありますが、仕事や家族、友人、自分の感情にどう向き合うかは共感できるものだったので、主人公の思いに自然と寄り添って訳すことができました。スクリプトを読んだだけでは意味が分からない箇所があったのですが、文化的背景を調べて理解を深めると、訳すことができました。改めて文化を知らないと訳せないことを実感しました。フィンランドの風土や文化を各所に感じることができる作品です。
 

◆『笑いごと』(原題『Naurum varjolla』/英語題『Laughing Matters』)
日本語字幕担当 塚原雅子さん

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仕事を失い、人生に迷う35歳の独身女性マリアが新たに飛び込んだのはスタンドアップコメディの世界。個性豊かな仲間たちと共に新人のコンテストツアーに参加しながら、自らの生き方を模索していく物語です。スタンドアップコメディのシーンは動画配信サービスの映像などを見て、雰囲気を参考にしました。ただフィンランド特有のものか、コメディとはいえ落ち着いたテンションで淡々と進む印象だったので、あまり脚色はせず原文に忠実に訳出するよう心掛けました。男性優位のフィンランドのスタンドアップコメディの世界で、自らの居場所を求め戦うマリアの姿に共感するとともに、人生に前向きになれるステキな作品です。多くの方にご覧いただけたら嬉しいです。
 

◆『エデン』(原題『Eden』/英語題『Eden』)
日本語字幕担当 安喜聖恵さん

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キリスト教の教会が主催する「堅信キャンプ」で、若者たちの心の交流や成長を描いた作品です。森の中の施設で、参加者は牧師たちと一緒に聖書の勉強や劇やゲームをして1週間を過ごします。親との関係に悩んだり周囲に心を閉ざしがちだったりする若者が、他人と共に過ごし意見を交わすうちに、自分自身と向き合い、本来の自分に気づき素直な笑顔を見せるようになる。そして若者だけでなく指導者の方も彼らから学んでいます。数年前にフィンランドに旅した際、教会でこのキャンプの集合場面に遭遇したのを思い出して嬉しくなりました。翻訳では聖書や歌(讃美歌ばかりかと思いきやフィンランド民謡もあった)の調べものを慎重にしました。舞台は夏の北欧の美しい森です。深夜に抜け出すシーンでも白夜で空が薄明るく不思議な感じ。BGMは少な目で、代わりに野鳥の声がたくさん耳に入ります。日本とは違う自然の光景も楽しめ、見て優しい気持ちになれる作品です。
 

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◆「フィンランド映画祭2021」 11月13日(土)~19日(金)
ユーロスペースで開催
上映スケジュールなど詳細はこちら
http://www.eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000554

 
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