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【フィンランド映画祭】フィンランドのアカデミー受賞作品を日本にいち早くお届け!

【フィンランド映画祭】フィンランドのアカデミー受賞作品を日本にいち早くお届け!
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11月9日(土)、渋谷のユーロスペースでフィンランド映画祭がスタートします。JVTAは毎年この映画祭を字幕制作でサポート、今年も全5作品のうち、4作品の日本語字幕を修了生が手がけています。(※『ネイチャー・シンフォニー』はナレーションおよび台詞がないため字幕がありません)。11回目を迎える今年は、2019年フィンランド・アカデミー賞を受賞し、今フィンランドで話題の名作が日本で初上映。シュールで一筋縄ではいかない北欧映画ならではの魅力が満載のラインナップです。翻訳を手がけた修了生にそれぞれの作品について聞いてみました。

 
◆『ランド・オブ・ホープ』
2019年フィンランド・アカデミー賞(Jussi賞) 
最優秀主演女優賞 最優秀プロダクション・デザイン賞
日本語字幕 修了生・本間 絵里香さん
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物語は第二次世界大戦末期から始まります。裕福な家庭に育った主人公の女性が傷を抱えた貧しい元兵士と出会い、駆け落ち同然で家を出て未開の森を農地として開拓していく日々が描かれています。2人は電気もガスもない場所でも明るく重労働を乗り越えていきますが、2人を引き離すような危機的な出来事も。しかしそんな時、彼らには常に支えになってくれる人の存在がありました。夫婦間だけでなく、隣人や家族、いろいろな人の愛と温かさが、随所に感じられる作品です。
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主人公の女性からは、気さくさやたくましさと共に、生来の育ちのよさも感じられました。そのため、感情をあらわにする場面はストレートに表現しながらも、凛とした品の良さは失わないよう言葉づかいに注意を払いました。また、裕福な主人公一家や、山の生活に慣れた隣人一家など、さまざまなバックグラウンドを持つ人物が登場するため、「こういう人なら何と言うか?」をよく考え、キャラクターに合わせたセリフ回しを意識しました。

 
◆『ヴォイド』
2019年フィンランド・アカデミー賞(Jussi賞) 
最優秀作品賞 最優秀監督賞  最優秀音響デザイン賞 最優秀編集賞
2019年モスクワ国際映画祭 最優秀男優賞 ロシア映画批評家賞
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日本語字幕 修了生・上田 明子さん
この作品はスランプに陥った人気作家と海外進出を目指す女優のカップルを描く、ちょっとシニカルな大人のコメディです。くすっと笑える部分や驚く展開もあり、痛快な作品になっています。白黒とカラーの使い分けにも注目してご覧ください。
主人公2人の速いやり取りが続くので、よどまずに読めるテンポのいい字幕になるよう心がけました。セリフが立て込んでいるシーンはハコ切りも短く切って、原音の臨場感が伝わりやすくなるように意識しました。また、セリフが重なったりするとどちらのセリフか分かりにくくなるので、あえて男女の言葉使いの区別をハッキリつけたりしました。リアルな夫婦喧嘩のシーンを楽しんでいただけるとうれしいです。

 
◆『頑固じいさんとしあわせな時間』
2019年フィンランド・アカデミー賞(Jussi賞) 最優秀助演女優賞
Happier Times Grump (2)
日本語字幕 修了生・土岐 美佳さん
この作品は主人公であるおじいさんが最愛の妻を亡くし、自分も後を追うために死ぬことを計画していたのに、都会暮らしの17歳の孫娘が押しかけてきたことで気持ちに変化が訪れる…といったストーリーです。心温まるコメディードラマなのですが、フィンランド特有のユーモアや自虐的なネタもあり、単なる「いいお話」とは一味違うところが魅力です。
おじいさんの隣人や、おじいさんが森で出会った謎の(?)人々など、登場人物も個性的で楽しめます。最初はしかめっ面でちょっと怖そうなおじいさんですが、皆さんも見ているうちにおじいさんのことが好きになると思います!

 
感動的なストーリーではありますが、作品の中ではどこか控えめに表現されているので(その点もフィンランド映画の特徴のように感じます)、字幕でもドラマチックになりすぎないような言葉選びを心がけました。ジョークなどのシーンも同様で、どこか淡々としている印象なので、笑いの要素を表現しつつ、あからさまではない字幕づくりに努めました。
思わず「クスッ」と笑ってしまうようなユーモアにあふれ、ゆっくりと心を温かくしてくれるステキな作品なので、観客の皆さんにもそう感じていただけるとうれしいです。

 
◆『アウロラ』
2019年エディンバラ国際映画祭 最優秀インターナショナル長編作品賞
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修了生・田島 良美さん

この作品は、母親を亡くし父親はアル中で、自らも荒んだ生活を送るフィンランド人女性のアウロラと、娘を連れてイランから来た難民のダリアンの出会いを描いています。

 
難民問題を扱っているので堅い内容かと思いきや、よくある偏見を使ったブラックジョークが作品全体に散りばめられていて、つい声に出して笑ってしまうシーンがいくつもありました。コメディとして楽しめる映画になっているので、鋭いジョークを生かせるように日本語訳にも気を配りました。クスっと笑っていただけたらとても嬉しいです。
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中東系の難民はイラン人でもイラク人でも見分けがつかず、全員アラビア語を話し、ムスリムで肉を食べない、白人女性をレイプする、勝手に戦争から逃れてきたと思われる、など、露骨な偏見が垣間見られるのも興味深かったです。
難民以外にも、身近な人の死、アル中など深刻な問題を扱っているにも関わらず、絶妙な軽さで登場人物を描いているところがこの作品の魅力だと思いました。
Aurora_ja_Darian_kosketus

 
最初はダリアンをただの難民としか見ていなかったアウロラですが、娘思いの父親として必死に生きる姿に触れるうちに、1人の男性として心を惹かれていく様子は、ラブストーリーとしても楽しめます。
「愛は理屈じゃない」ということが再確認できる作品なので、ぜひ劇場へ足を運んでください。

 
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フィンランドで今注目の傑作をいち早く見られるチャンス。ぜひ、足を運んでみてください! 

 
◆フィンランド映画祭
11月9日(土)~15日(金)
ユーロスペース
http://eiga.ne.jp/finland-film-festival/

 
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